西湘歯科医院

2015年4月

「患者さんの事を考えても考えなくてもストレスがたまる」
これまでも何回かこのコラムで伝えたとは思いますが、虫歯は化学反応、歯周病は感染症です。 虫歯は口の中が食事で酸性になった時に酸で歯が溶ける病気、歯周病はばい菌が出す毒素から骨が自分で自分を溶かして逃げ ることによって骨が無くなる病気。
そうしなければ、骨からばい菌が全身に回って心臓病、脳梗塞とかの生命を脅かすことになるので、感染した歯を捨てることによって体を守っているのです。
だから感染した歯は抜くのが正解、隣の歯とくっつけたりして抜かないのは生命を脅かしているのと同じ、自殺行為です。
抜かないのが名医というのは全くのうそ、抜きたくない心理につけこんだ詭弁です。原因はそれぞれ違っても治療と予防は同じ、磨き残しを減らすしかありません。中には歯磨きをちゃんとしないのに虫歯にならない人がいます。
それは歯が酸に強いという事、小さいころから食べ物、緑茶等に含まれるフッソで歯が強化されているという事です。
同じように歯周病にならない人、これは歯周病菌に強い抵抗力を持った体だということです。歳をとってくると抵抗力も弱くなるので、歯周病はだいたい年配からの病気です。
逆に虫歯になりやすい人は、食べ物、飲み物に糖分が多い物を好む人、ジュース、イオン飲料、炭酸飲料等、2歳頃に甘いものに慣れるとそれなくしては満足感が得られません。 親の意識が問われます。
我が西湘歯科医院では磨き残しをわかりやすくするために、よく歯垢を赤く染めます。ひとつのショック療法です。ほとんどの方が磨き残しの多さに驚きます。
我々スタッフはねらいどおりで、やったとにんまりする場面ですが、中には毎日ちゃんと歯ブラシしてるんですが、と言い訳をする方がいます。
このような方はたいがい何本かの歯を失っています。困っているにもかかわらず、自分を否定されたくないのか、歳のせい、もともと歯が悪いとか、いろいろな理由を言ってきます。
こんな方にはもうなにを言ってもダメ、馬の耳に念仏、時間の無駄、もっと歯を無くしてもっと困ってもらうしかありません。
でも中には総入れ歯から、インプラント治療を受けて心機一転、とても熱心に歯磨きケアをされている方もいます。
でも思います、どうしてもっと早くそのことに気付かなかったのかと、そうすれば何百万というお金をかけずに歯を残せたはずなのです。 総入れ歯でもなんでも噛めると言うお年寄りもいます。入れ歯にしては噛めるという事でしょうが、思い出して下さい、総入れ歯で噛める力はどんな名人の先生が作っても、天然歯の30％に過ぎないっていう事を。
「先生、歯周病が心配なんです、最近歯ぐきが痩せてきたようで」
「そうですね、ではタバコをやめて下さい」
「それはちょっと」
「歯をなめとんのか！」 とは言いませんでしたが、どこまで本気なのか疑問です。
そのような方に本気で歯の心配をしてあげても仕方がないとは思いませんか。 喫煙者が「たばこ吸ってもいいですか」と聞きますが、「良いですよ」とは答えるものの、本当は「ダメ」と言いたいに決まっているじゃないですか。
喫煙者が不愉快にならないように気をつかっているのです。喫煙者の方も、許可が得られたから吸ってもいいんだ、じゃなくて、あなた方が愉快になる分だけ非喫煙者は不愉快になるんだという気を使ってもらいたいものです。
喫煙者でお金がないのでインプラントはできないという方がいますが、禁煙すればそのお金は出せるのです。
おまけに健康な体まで手に入る、健康よりもタバコという理屈、私には理解できません。今月の話題、いつもとちがって愚痴っぽく面白くないのには訳があります。
つい最近、入れ歯で残り少ない歯を残したいという患者さんが来たので、磨き残しを指摘したところ 後日電話で、言い方がきついとその後の予約を取り消されてしまいました。
その方は今後歯を残すことが難しくなるでしょうが、それを受けて、私も少し言い方をやさしくオブラートに包むようにしようと思います。
同じことを言っても、ついて来てくれる患者さんと、反発される患者さん、その見極めはかなり難しいです。
「大丈夫、大丈夫」と言って薬をのめば治る病気と違って、歯の病気は毎日の歯磨きが出来なければ治りません。口がうまくて流行っている歯医者は山のようにいます。 患者さんはだまされているのにわからない、歯がゆいばかりです。
我が西湘歯科医院はそうはなりません、少なくとも私が治療する限りは。今後、代診の先生が診る機会が増えます。口だけの先生は採用しませんが、すべて管理できるわけではないことも事実です。
どうか皆さん治療を受ける前に考えてみて下さい、今までの磨き方、食生活に問題が無ければ、治療を受ける必要なんかないのです。 それに気づいてもらうために我々は言いたくもない事をあえて言っているのです。事実を受け止める覚悟を持って治療に臨んでいただけたら、われわれもやりがいがあります。 最期までお付き合いくださってありがとうございました。
酒、タバコでストレスが解消される方はいいですが、私はそのどちらもやりません。ではどうするかと言いますと、車、バイクの運転です。ただし、制限速度を守っていれば余計にストレスが溜まります。いつも運転後はストレスが解消されますので、後は察して下さい。 でも調子に乗りすぎると覆面パトにつかまってよけいにストレスが溜まる。何事も加減が難しいです。
※次号をお楽しみに！！

2015年8月

「ひと は見た目が9割」
「人を見た目で判断しないようにしよう」、という言葉があります。逆に考えれば、人は見た目で判断している、と言っているようなものです。確かに、そんなことをしていなければこんな言葉は使われませんね。
正直なところ、我々はほとんど人を見た目で判断しています。また、こんな言葉もあります、「恋におちる」。おちるのは瞬間、あっという間、そう 見た目で判断するので時間は必要ないのです。 一説によると、それに必要な時間はたった0.5秒だそうです。ひと目惚れっていうやつですね。
では、見た目が良いあなたのような人は ともかく、そうでない人はどうすればいいのでしょうか。性格を変える？できますか、そんなこと。「三つ子の魂100まで」という言葉もありますしね。
顔かたちは整形手術でもしないと変わりません。変えられるのは顔以外、首から下、そう、たるんだ二の腕、おなかまわり、・・・・ではなく、着る物、つまり服装です。これはわりと簡単ですよね。でも、なにも頭のてっぺんから足の先までブランド品で飾れと言っているのではありません。 清潔感のある服装なら大丈夫です。外出の際には人が不愉快にならない身なりを心がける、この気持ちが大切ですね。
それともう一つ大切な事、それは匂いです。例えば電車にホー ムレスの人が乗って来たとしましょう。ここで気になるのは、意外と金を持っているんだということでなく、臭い匂いではないでしょうか。でもこれも体を清潔にする、着る物を洗うことで解決ですね。お金をかけなくても、心がけ次第で解決する問題です。人にできるだけ迷惑をかけない生き方をする、この気持ちが大事なのです。
ところが、歳をとってくるとその気持ちがだんだん萎えてくるようです。お口のなかも全く同じことが言えます。治療の前に歯を磨かない、入れ歯を洗ってこない、そして、他の治療はしますか、の問いかけには、治さなくていい、と答える。
老人ホームのヘルパーさんが嫌がるものの一つに部屋が臭いというのがあります。ところが口腔ケアをすることによって口臭が無くなると、部屋の臭さも無くなるのです。それほど口臭は周りに迷惑をかけるものなんですね。そこのところ若い女性はちゃーんとわかっているので、身なり、匂いにはとても気をつけています。実に素晴らしい。
しかし、それを男が真似て化粧すると逆にキモ～イと避けられる、実に難しい。細菌学を学ぶとわかるのですが、たいがい臭いのは、ばい菌のにおいです。人間にとって好ましくないばい菌の匂いを「臭い」と思うように人はプログラムされているのです。
そうやって人類はばい菌から遠ざかることによって身を守って来ました。その歴史に逆行するかのように臭いのでは、嫌われるどころか長生きは出来ません。
ここ数十年でアトピー、アレルギーの方が急増しています。これは小さい時から砂遊び、外遊び等の減少でその土地のばい菌に触れてこなかったために免疫が獲得されなかった為です。ところが虫歯菌には逆の事が言えます。早い段階で虫歯菌がうつると虫歯になりやすくなります。子育て世代の大人は特に自分の口の中をきれいにしてもらいたいものです。
人間界と違って、自然界の動物達はオスの方がきれいです。子孫を残すために着飾るのはむしろオスのほうなんです。その気持ちを人間のオスにもわかってほしいと思います。女性にしても、汚くて不潔な男性よりも、きれいで清潔な男性がいいですよね。それがイケメンならなお結構。男性にしても女性にしても、異性がいなければ長生きできません。
入院中に見舞客が多い患者さんはそうでない患者さんより長生きするんだそうです。人とかかわらないと長生きできないし、それが異性ならもっと長生き出来そうですよね。 ちなみに私はオネエーではないので化粧はしませんが、せめて清潔にしようと心がけています。自分のばい菌で病気にならないためにも。
※次号をお楽しみに！！